CCSが実現する低炭素型セメント


アルバータ州エドモントン発, Jan. 23, 2021 (GLOBE NEWSWIRE) -- 低炭素型セメントの実現に向けて、アルバータ州エドモントンにあるリーハイ・セメント (Lehigh Cement) 工場の二酸化炭素の回収貯留 (CCS) を検討する独自の実現可能性調査が進んでいる。温室効果ガス (GHG) 排出量の削減に大規模CCSが大きな役割を果たすとの認識に基づき、リーハイ・セメント、インターナショナルCCSナレッジセンター (International CCS Knowledge Center、以下「ナレッジセンター」)、および三菱重工業 (Mitsubishi Heavy Industries、以下「MHI」) グループが、このセメント工場の二酸化炭素回収システムの実現可能性調査のため、工学設計を進めている。

リーハイCCSの実現可能性調査は、北米のセメント業界では初の試みで、セメント工場の煙道ガスから二酸化炭素 (CO2) を90~95%回収する実現可能性を検討している。この回収量は、年間CO2 60万トンに相当すると推定されている。この調査は、二酸化炭素排出量削減を目指して積極的に取り組むことを宣言している北米の各組織でも初の試みである。

近頃発表されたカナダ気候計画 (Canada Climate Plan) では、包括的なCCS戦略を策定し、カナダがこの成長産業で世界的競争力を維持するための機会を模索することが具体的に示されており、この調査は時宜を得たものとなっている。

ナレッジセンターは、SaskPowerのバウンダリーダム3号機CCS施設 (BD3施設: Boundary Dam 3) の設計、建設、運用および拡張/改修を通じて得た経験を活かし、MHIグループと共同で行っているShand CCS実現可能性調査 (Shand CCS Feasibility Study) と並行して、今後も燃焼後回収プロセスの世界的な最前線に立ち、関連する業界全体でCCS機会を模索していく。

煙道ガスは非常によく似ているため、ナレッジセンターが経験に基づくガイダンスを提供すれば、BD3施設で獲得した専門知識をセメントセクターにも適用することができる。リーハイCCS実現可能性調査では、MHIグループ傘下の三菱重工エンジニアリング (Mitsubishi Heavy Industries Engineering、MHIENG) が所有し、世界各地の商業施設13か所に展開する炭素回収技術 (KM CDR ProcessTM) をカスタマイズして、リーハイ工場と出力仕様 (煙道ガスの前処理システム、二酸化炭素回収および圧縮プロセスなど) に統合する工学設計を検討する。

セメント需要の増加に伴い、排出量をさらに削減する課題に直面している分野では、大規模CCSがGHG削減に決定的なソリューションとなり得る。リーハイCCS実現可能性調査では、工学設計、費用見積り、詳細なビジネスケース分析を実施して、セメント業界でのCCSの価値を検討する。

引用

「セメント業界での大規模CCS推進は、業界全体に幅広くCCS施設を展開するために重要であるため、地球市民として、世界的な排出量削減に有意義な影響を与えることができます。」
- ベス (ハーディ) ヴァリアホ (Beth (Hardy) Valiaho)、インターナショナルCCSナレッジセンター戦略および関係者関係担当VP

「2050年までに世界全体でカーボンニュートラルを達成するには、二酸化炭素削減が困難な分野で二酸化炭素の排出量を削減する能力が必要です。当社の定評ある二酸化炭素回収技術を新たな市場や用途に拡張する方法を検討して、機会を拓くことにより、目前の課題に対処することができます。」
- 白岩良浩 (Yoshihiro Shiraiwa)、米国三菱重工 (Mitsubishi Heavy Industries America) 社長兼CEO

「このCCS実現可能性調査は、当業界が生産需要の増加に継続的に対応し続ける方法を理解するとともに、重要な気候目標を達成するために不可欠です。当業界に必須のクリーンテクノロジーにより、世界的な変革を主導する立場にあることを誇りに思っています。」
-ヨルク・ニックスドルフ (Joerg Nixdorf)、リーハイ・ハンソン (Lehigh Hanson) カナダ地区社長

基本データとリンク

リーハイCCS実現可能性調査

  • リーハイCCS実現可能性調査は、ナレッジセンターとリーハイ・セメントが共同で実施するもので、2021年秋完了を目標にしている。
  • この調査の目的は次の通り。Class 4精度の実現可能性調査の費用見積りの算出、回収技術プロバイダー1社 (MHIグループ) と協力してリーハイ工場にカスタマイズした工学設計を提供すること、プロセス管理とサードパーティの指導 (必要な場合)、詳細なビジネスケースの完成、フロント・エンド・エンジニアリング・スタディ (Front End Engineering Study: FEED) の予算策定。
  • この取り組みは、パートナー吸収プログラム (Partnership Intake Program) を通じて、エミッション・リダクション・アルバータ (Emissions Reduction Alberta、ERA) から140万ドル (約1億4,560万円) の資金を受けている。ERAの投資は、費用削減、競争力の向上、低炭素経済に向けたアルバータ州の変革加速を実現するGHG削減技術をイノベーターが開発・実証するのに役立つ。

セメント関連の排出の概要

インターナショナルCCSナレッジセンター (ナレッジセンター) について: インターナショナルCCSナレッジセンター (International CCS Knowledge Centre) は、世界的なGHG排出量を削減するための大規模CCSに関するグローバルな理解と展開を推進する権限を持ち、完全統合型のバウンダリーダム3号機CCS施設および包括的な第2世代のCCS調査 (Shand CCS実現可能性調査) から得られた知識と経験に基づき、大規模CCSプロジェクトおよびCCS最適化を実施するノウハウを提供する。ナレッジセンターは、独立した取締役会の指揮の下、2016年から運営されており、BHPとSaskPowerによって設立された。詳細の参照先: https://ccsknowledge.com/

三菱重工グループについて:
三菱重工 (Mitsubishi Heavy Industries、MHI) グループは、エンジニアリングおよび製造のグローバルリーダーである。世界各地の300以上の事業所に8万人以上の従業員が勤務している。MHIグループは、発電システム、産業、インフラストラクチャ、航空防衛、宇宙産業の大手グローバル企業である。三菱重工エンジニアリング (Mitsubishi Heavy Industries Engineering、MHIENG) と関西電力 (Kansai Electric Power Co., Inc.、KEPCO) は、1990年に燃焼後二酸化炭素回収技術である関西 - 三菱二酸化炭素回収KM CDR ProcessTMの開発を開始した。2020年11月現在、MHIENGはKM CDR ProcessTMを備えた計13の商業施設を展開しており、二酸化炭素回収技術展開のグローバルリーダーとなっている。以上のほか、2工場が現在建設中である。詳細情報の参照先: https://www.mhi.com/products/engineering/co2plants.html

リーハイ・セメントおよびリーハイ・ハンソンについて:
1956年の設立以来、リーハイ・セメント (Lehigh Cement) は、セメントおよびコンクリート業界のイノベーター、パートナー、コラボレーターとしてその発展に寄与し、アルバータ州経済に貢献してきた。同社は、ハイデルベルグセメント・グループ (HeidelbergCement Group) の北米事業部門であるリーハイ・ハンソン (Lehigh Hanson) の関連企業である。詳細については、https://www.lehighhanson.comを閲覧されたい。

リーハイ・ハンソンは、世界最大の建設資材およびソリューション統合メーカーであるハイデルベルグセメントの傘下企業で、骨材、セメント、およびレディミクストコンクリート市場でトップの地位を確保している。50か国以上の3,000を超える拠点で、従業員約54,000人が、オペレーショナル・エクセレンスと変更のオープン性を通じて、長期的に財務実績を達成している。同社の活動の中心には、環境責任への取り組みがある。ハイデルベルグセメントは、カーボンニュートラルの先駆者として、将来的な材料ソリューションを開発している。

エミッション・リダクション・アルバータ (ERA) について:
10年以上にわたって、ERAは、革新的なクリーンテクノロジーソリューションの開発と採用を加速すべく、大規模排出事業者が支払った炭素価格収益を投資してきた。2009年の設立以来、ERAは、186プロジェクト (45億5,000万ドル (約4,732億円) 相当) に6億1,600万ドル (約640億6,400万円) を投資してきた。この投資はGHG削減、競争力のある産業創出に貢献し、アルバータ州での新たなビジネスチャンスの創出につながっている。これらのプロジェクトでは、2030年までに3,500万トンのCO₂を累積的に削減すると推定される。詳細情報の参照先: https://eralberta.ca/

報道関係者向けの問い合わせ先

インターナショナルCCSナレッジセンター
ジョディ・ウーラム (Jodi Woollam)
コミュニケーション&報道関係担当責任者
jwoollam@ccsknowledge.com
電話: +1-306-565-5956/モバイル: +1-306-520-3710
ccsknowledge.com
@CCSKnowledge

三菱重工グループ
mediacontact_global@mhi.co.jp

リーハイ・ハンソン
ジェフ・シーグ (Jeff Sieg)
コーポレート・コミュニケーション担当取締役
972-653-6011
jeff.sieg@lehighhanson.com
 

この発表に関する写真はこちらで入手可能: https://www.globenewswire.com/NewsRoom/AttachmentNg/b4540ab2-8b97-40d5-a10b-4ee2b47697d6