BD3 CCS施設が400万トンのマイルストーンを達成

以下に、プロフェッショナルエンジニアであるブレント・ジェイコブズ (Brent Jacobs) がインターナショナルCCSナレッジセンター (International CCS Knowledge Centre) を代表して発表した声明を掲載。


初めての試みには勇気が必要です。この度、サスクパワー (SaskPower) の画期的なバウンダリーダム3号機CCS施設 (BD3: Boundary Dam 3) は、400万トン (4Mt) のCO2を回収し、大気中への発散を防止しました。これは記念すべきマイルストーンです。

カナダ、サスカチュワン州レジャイナ発, April 02, 2021 (GLOBE NEWSWIRE) -- 今回の成果は、約865,000台の車が1年間に排出する二酸化炭素量に相当する削減効果を持つだけでなくi、応用に基づく学習と進歩にこだわることの価値と多大な影響を際立たせるものです。

私は、グローバル温室効果ガスを大幅に削減する手段として大規模二酸化炭素回収および貯留 (CCS) の利用推進に取り組む、インターナショナルCCSナレッジセンター (ナレッジセンター) のチームに参加する栄誉を与えられました。この仕事の特にユニークな点は、自分達の経験と学習曲線に沿って学んだ知識を公開することでこれを実現する点です。これにより、他のメンバーが専門知識を確実に習得し、強固で信頼できる基盤を確立したうえで、今後の業務に取り組めるようにすることを目指しています。

BD3のCCSの事例は、重要な一歩であり、今後のCCSの取り組みを促進する要因のひとつとなるでしょう。BD3の二酸化炭素回収パフォーマンスにより、CCSの実社会での応用例を継続的に改善および実証することで、エネルギーおよび産業セクターの排出ガスを大幅に削減します。

BD3 CCS施設の設計、建設、操業、およびその後の改善を通じて得られた経験をもとに、ナレッジセンターは、燃焼後の回収プロセスにおいて常に重要な位置を占める2つの主要な研究をグローバルに展開しました。シャンドCCS実現可能性調査 (Shand CCS Feasibility Study、2018年11月)は、CCSプロジェクトのコスト、リスク、効率の大幅な改善を示し、これらの進歩をセメントセクターに直接適用するリーハイCCS実現可能性調査 (Lehigh CCS Feasibility Study、2021年秋に実施予定) の基礎となっています。

2014年10月の回収作業開始時点からのBD3 CCS施設の日々の操業データの分析結果は、2021年3月に開催されたIEA温室効果ガス研究開発プログラムGHGT-15会議という世界的な舞台で発表されましたii。その成果は期待以上です。

「初となる」施設の多くがそうであるように、予期しない障壁がパフォーマンスに影響を与えることも予想されます。これらの現実的な応用に基づく調査では、BD3 CCS施設の回収システムで経験した具体的な課題と、施設のパフォーマンス、信頼性、可用性を向上させるために実施された修正措置に対処します。これらの修正措置は、次回のCCS施設に直接転用できます。

このような短期間で安定して操業が改善すると大きな励みになります。産業界がCO2排出量を低減するにあたり、CCSは実現可能かつ不可欠な選択肢です。ナレッジセンターは、BD3で得た知見を生かしノウハウを活用することで、最適なパフォーマンスの実現と維持における現状の課題を特定し、これを解消する必要があります。

CCSテクノロジーは、複数のセクターにわたる展開を求めるため、パフォーマンス評価が不可欠です。毎年実施されるBD3 CCS施設の最適化は、効率とコスト効果の向上に磨きをかけるのに役立ちます。このようなパフォーマンスの向上により、プロジェクトコストやリスクを確実に削減し、操業の見通しを立てやすくなることで確実性が向上するため、次のプロジェクトの基盤を強化することができます。

BD3 CCS施設は、初めての試みにも勇気を持って踏み出すことで、大幅な資本・操業コストの削減と効率の向上への道を切りひらき、次世代CCS設備のさらなる改善につなげました。

ブレント・ジェイコブズは、インターナショナルCCSナレッジセンターのエンジニアリングチームリーダーであり、BD3 CCS施設での作業に関する実践的な専門知識を持ち、シャンドCCS実現可能性調査およびリーCCS実現可能性調査の主執筆者である

インターナショナルCCSナレッジセンター (ナレッジセンター) について: インターナショナルCCSナレッジセンター (International CCS Knowledge Centre) は、世界的なGHG排出量を削減するための大規模CCSに関するグローバルな理解と展開を推進する権限を持ち、完全統合型のバウンダリーダム3号機CCS施設および包括的な第2世代のCCS調査 (Shand調査) から得られた知識と経験に基づき、大規模CCSプロジェクトおよびCCS最適化を実施するノウハウを提供する。ナレッジセンターは、独立した取締役会の指揮の下、2016年から運営されており、BHPとSaskPowerによって設立された。詳細の参照先: https://ccsknowledge.com/

サスクパワーのバウンダリーダム3号機CCS施設 (BD3) について: カナダ、サスカチュワン州エステバン近くに位置する、石炭火力発電所と完全統合された世界初のフルチェーン型二酸化炭素回収および貯留 (CCS) 施設である。  設備のフルチェーンクラスターは、BD3施設のすぐ近くにあり、実証済みの安全なCCSの完全なデモンストレーションと操業を実現している。この包括的な商用操業経験により、他に類を見ない技術やその他の要件に関するインサイトを得られる。統合型操業のフルチェーンには、二酸化炭素回収施設、強化型油回収装置への輸送、アクィストア (Aquistore) のCO2貯留、二酸化炭素回収テスト施設、排出ガス規制研究施設が含まれる。詳しくは、www.ccsknowledge.comを参照されたい。

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i米国環境保護庁。温室効果ガス等価計算機 - 計算と参照 (Greenhouse Gases Equivalencies Calculator - Calculations and References)。 https://www.epa.gov/energy/greenhouse-gases-equivalencies-calculator-calculations-and-references
iiインターナショナルCCSナレッジセンター。2021年。「バウンダリーダム3号機の初期4年間の操業のディレート分析 (Derate Analysis for SaskPower’s Boundary Dam Unit 3 During the First Four Years of Operation)」2021年。「サスクパワーのBD3回収施設の操業およびプロセス設計の変更による信頼性の向上: 初期4年間の操業の経験 (Reliability Improvements of SaskPower’s BD3 Capture Facility Through Operational and Process Design Changes: Experiencing the First Four Years of Operations)」。

この発表に関する写真はこちらで入手可能: https://www.globenewswire.com/NewsRoom/AttachmentNg/813d913e-25ca-4401-9185-50152d2b1478